2013年2月16日土曜日

[映画] ムーンライズ・キングダム

2013年2月15日(金)レイトショーで見てきました。
本当はZDT狙いだったのですが間に合わずセカンドチョイスだった筈が……これがよかった。
※ネタバレあります。






クラシック音楽というよりベンジャミン・ブリテンをフィーチャーした音楽映画
本作はオープニングで「青少年のための管弦楽入門」のレコードを掛けるシーンからスタート。様々な音楽が的確に使われていて大変気持ちよく聞いていられます。
ブリテンをフィーチャーした点についてはウェス・アンダースン監督が好きだというのが大きく影響。劇中劇の「ノアの方舟」もブリテンの作品との事で納得。
エンドロールでは本作の音楽を担当しているアレキサンドル・デスプラが作曲した「青少年のための管弦楽入門」オマージュの曲が使われている点。音楽があるコンセプトで徹底的に練り込まれていて見事。
デスプラは「英国王のスピーチ」「スーパーチューズデー〜正義を売った日〜」「アルゴ」「ゼロダークサーティー」の音楽も手がけられているとの由。納得です。

パンフレットを買ったのですが、音楽解説がないのが極めて遺憾。音楽に力を入れている事はエンドロールの楽曲リスト、演奏者リストの長大さで明らかだと思うのですがパンフレットはこの点はほぼスルー。ちょっと残念です。(サウンドトラックアルバムの楽曲リストでどのようなクラシック曲が入っていたかは確認出来ます。一部シューベルト等入っていますが大半がブリテンでした)

パンフレットの表紙、福祉局の人は要注目。ちょっとひどいと思いつつ苦笑。

映像/演出の妙
オープニングの横へ、横へとスライドして行く映像が面白い。あと色彩設計は明らかに60's、70'sのドラマ/映画を意識。(調べてみたら撮影は16mmフィルム。編集は2Kデジタルのようです。フィルム粒子感ではなくフィルム粒子そのものを活かす為の撮影機材選定)
本作は1965年が舞台とされていますが、様々なオマージュと思えるシーンが多いです。例えばスカウト隊のウォード隊長のオープンリールへの吹き込みは「宇宙歴」と言い出しかねない宇宙大作戦的な雰囲気満載。
スカウト隊自体は西部劇や第二次世界大戦を描いた活劇ドラマを彷彿とさせます。またこのドラマ要素も脱走あり、西部劇的な追跡劇ありと盛りだくさん。
主人公とヒロインの愛の逃避行の最中のダンスシーンあたりはまるでウッドストック的な雰囲気にしたり60'sカルチャーの要素もしっかり挟み込んでいたり。いろいろな要素を見出す事が出来る映画になっています。

過去最高の「マクリーン警部補」
いい味を出していたと言えば島唯一の警察官であるシャープ警部。人が死なない映画もこなせる演技力は「ダイハード」以前の「こちらムーンライト探偵社」等で証明されていたところですが、完璧に忘れていました。。。
ウィリス出演映画は現在「LOOPER」「ダイハード/ラストデイ」の3本が公開されている訳ですが、おそらく本作の役柄が一番演出と演技が当たった作品じゃないかなと思った次第。それでいて最後の最後で「ダイハード」要素がちりばめられていて爆笑しつつホロリとさせられました。この役をやった事は後々のフィルモグラフィーに残りそうな予感がします。

不思議と違和感を感じさせない作品
時折リアリティーラインを割り込むんじゃないかと思える演出が入るのですが、不思議と説得力が合って気になりません。主人公がヒロインにキスしたら体内に電気がたまっていたのか稲妻が走るというのはないだろうと思うのですが、見ている最中はそこまで気にならないんですよね。このあたりはウェス・アンダーソン監督のマジックでしょう。
たまたまとは言え、良き映画を見る事が出来てラッキーでした。